日米首脳会談の温度差

 
今日はこの話題を簡単に…

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3月7日、安倍総理は、アメリカのオバマ大統領と40分間の電話会談を行った。

オバマ大統領からは、ウクライナ情勢に対するアメリカの立場の説明があり、ロシアへの経済制裁やウクライナへの資金援助などで日本に理解と協力を求めたとされる。

ホワイトハウスは、両首脳はロシアのウクライナへの軍事介入に関し「国際の平和と安全への脅威だ」との認識で一致し、ロシアに平和的解決を促したと公表しているそうなのだけれど、日本の外務省のサイトでは、次のように発表されている。
日米首脳電話会談 平成26年3月7日

 本7日正午から約40分間,安倍晋三内閣総理大臣は,バラック・オバマ米大統領と電話会談を行ったところ,概要は以下のとおりです(菅義偉内閣官房長官,加藤勝信内閣官房副長官,世耕弘成内閣官房副長官,谷内正太郎国家安全保障局長,齋木昭隆外務次官他同席)。

1 オバマ大統領から,ウクライナ情勢に対する米国の立場につき説明がありました。これに対し安倍総理より,ウクライナ情勢改善のためのオバマ大統領の努力を支持しており,日本としても,ウクライナ情勢の早期改善を期待する旨述べました。両者は,ウクライナの主権,領土の一体性を尊重することの重要性で一致するとともに,G7首脳声明の重要性を確認し,引き続き日米首脳間で緊密に意思疎通していくことで一致しました。また,ウクライナの経済改革,政治改革への支援を確認しました。

2 また,両者は,4月に予定されているオバマ大統領の訪日に向け,日米で緊密に連携しつつ準備を加速させていくことで一致しました。
と、このように日本側からはロシアの軍事介入について「国際の平和と安全への脅威だ」の文章は見当たらない。それどころか、アメリカの行動に対して、歩調をあわせるだとか、協力するとかの文言すらなく、アメリカの"努力"を支持なんて、大分距離をおいた表現。少なくとも、アメリカのロシアへの対応について手離しで賛成しているようには見えない。

ただ、ウクライナの経済改革や政治改革への支援については行う方向のようだ。

菅官房長官によると、会談はアメリカからの要請で行われたというから、オバマ大統領も日本の協力を得たいと思っていたことは間違いない。

困った時に友人を頼るというのは普通の行動ではあると思うけれど、普段は釣れない態度でいるくせに困ったときだけ頼ってくる人は、あまり友達にしたくないと思うのが人情。また、情を抜きにして、ビジネスライクで対応する、というのなら、それなりの見返りが必要になる。

オバマ大統領の日本に対する冷たい態度は今に始まったことではないけれど、ではビジネスライクでやるのかというと、そのようにも見えない。シリア問題の時に行われた日米首脳会談では、TPP交渉の年内妥結をめざして協力するという話があったのだけれど、今回の発表を見る限り、見返りになりそうなもの見当たらない。まさかオバマ大統領の4月の訪日が見返りだなんてこともあるまい。



今回の会談で、アメリカは、ロシアへの制裁について、日本から明確な支持は得られなかったのだけれど、これについて、国務省のサキ報道官は記者会見で「ロシアと貿易面や経済面でアメリカよりも強いつながりを持つ国があることは分かっている。…われわれは制裁を強化していくことよりも、対話を通じてこの問題を解決することを望んでいる」と外交的な解決を目指す考えを述べている。

確かオバマ大統領は、3月4日の時点で、ロシアに対して「経済的にも外交的にも、ロシアを孤立させる措置を検討する」と発言していた筈なのだけれど、それが日米電話会談の後では「制裁を強化していくことよりも、対話を通じてこの問題を解決する」と変わっている。

これが、制裁から対話へのアメリカの方針転換を示しているのか、日本に配慮しての発言なのかは、まだちょっと分からないのだけれど、アメリカとEUが渡航禁止や資産凍結など段階的な制裁措置をロシアに対して取ることを決めているところを見ると、完全に制裁を手離しているとは思えない。

3月8日、安倍総理は「私の考え方、日米としての考え方、日米と欧州連合の統一的な考え方を伝えていきたい。…日本と米国、EUがしっかりと協力し、この問題を平和的に、外交によって解決していきたい」と述べ、国家安全保障局の谷内正太郎局長をロシアに派遣する考えを表明している。

谷内氏は、先の日米電話会談に同席しているのだけれど、安倍総理の外交によって解決したいというコメントと重ね合わせると、日米電話会談で、安倍総理は経済制裁ではなく、対話による解決を主張して、谷内氏のロシアへの覇権を提案したのではないかと思う。

谷内氏はロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談するほか、プーチン大統領やラブロフ外相と会う可能性があるとも伝えられている。

筆者は「ロシアへの経済制裁と日本のアドバンテージ」のエントリーで、日本はG7とロシアとの仲介役になり得るポジションにいると述べたけれど、早くもそのポジションとしての役割を求められている。

こういった日本の立ち位置についてはロシア側も理解しているようで「ロシアの声」は、ロシア最高経済学院のアンドレイ・フェシュン研究員へのインタビューを紹介し「日本はソチでのG8サミット実施に向けた準備の一時中止に対するアメリカの圧力に、文字通り、歯を食いしばって従ったG8の最後の国の一つです。これは日本のゲームではなく、純粋に米国のゲームであり、日本はその事をよく理解しています。…日本政府のあらゆるレベルからモスクワに、日本はロシア政府と全く争う意向はない、関係は肯定的に発展しつつあり日本政府はこの路線を今後も続けてゆくというシグナルが示されています」と伝えている。

ウクライナ問題について、今のところ、アメリカを始めとして西側先進国は、ロシアに対して「圧力と対話」によって対応しようとしているけれど、その「対話」の部分の多くは日本がその任を負っているように見えなくもない。この問題の平和的解決のカギは日本が握っているのかもしれない。




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