今日は、別のエントリーにする予定だったのですけれど、こっちが過熱してますので、急遽差し替えさせていただきます。
中国での反日暴動が拡大している。トヨタやパナソニックなどが焼かれ、イオンの窓ガラスは粉々になった。またそれだけでなく、日本と関係のない筈のスイスの「ロレックス」や、フランスの「クリスチャン・ディオール」の店舗が荒らされ、ショーウインドウは粉々になり、商品が根こそぎ強奪され、韓国のサムスンも襲われたようだ。
9月15日、西安市で行われた大規模な反日デモでは、デモに参加した大学生が死亡し、また参加者が破壊した日本車に乗っていた男性が重傷を負ったという情報もある。16日には、西安市の公安局が、市中心部の広場などでデモを禁止する通達を出し、インターネットを通じたデモの呼び掛けも禁止したようなのだけれど、これで西安市内のデモが収まるのであれば、まだ官制デモが中国当局のコントロール下にあると見ていいかもしれない。
今回の突然の反日デモは、中国共産党政府内の権力争いが原因しているのではないかという説がある。今年10月には5年に一度の共産党大会が開かれるのだけど、そこで決まる新指導部体制で胡主席の団派と習近平副主席の太子党(上海閥)のどちらが主導権を得るかの争いが反日デモに影響しているのではないかということ。
中国政府の最高意思決定機関として「中国共産党中央政治局常務委員会」というのがあるのだけれど、これは、政治局委員の中から選ばれた9人で構成される。委員の任期は2期10年で、党大会の時点で68歳以上の政治局委員は引退するのが慣例のようだ。
現在の政治局常務委員は次の9名。
胡錦濤(団派:1位) 中国共産党中央委員会総書記、中華人民共和国主席、中央軍事委員会主席と、まぁ、太子党5名、団派4名とそれぞれ半々ぐらいとバランスが取れていた。
呉邦国(太子党:2位) 全国人民代表大会常務委員長
温家宝(団派:3位) 国務院総理
賈慶林(太子党:4位) 中国人民政治協商会議全国委員会主席
李長春(太子党:5位) 中国共産党中央精神文明建設指導委員会主任
習近平(太子党:6位) 中国共産党中央書記処第一書記、中華人民共和国副主席
李克強(団派:7位) 国務院常務副総理
賀国強(団派:8位) 中国共産党中央規律検査委員会書記
周永康(太子党:9位) 中国共産党中央政法委員会書記
今年3月16日付のロイター通信では、年齢と任期の関係から、次期常務委員には、現在の習近平氏と李克強氏のみが残り、残りの7名は、現政治局委員の汪洋(広東省書記:団派)、王岐山(副首相:太子党)、劉雲山(党中央宣伝部長:太子党)、李源潮(党中央組織部長:団派)、張徳江(副首相・重慶市書記:太子党)、張高麗(党天津市書記:太子党)、兪正声(上海市書記:太子党)が座ることになると予測している。
この構成だと、団派3名、太子党6名と、太子党が大きく勢力を伸ばすことになるのだけれど、評論家の宮崎正弘氏によると、次期執行部は政治局常任委員は9名から2名減って7名となり、習近平、張徳江、劉雲山、王岐山の太子党4名と、李克強、李源潮、張高麗の団派3名で、団派対太子党が3:4になるとしている。
そして、16日の反日デモは、広州、深センといった、王洋に代表される団派の統治地域で過激化し、日本企業の焼き討ち及び破壊工作は、山東省、広東省、湖南省と団派のリーダーが統治する行政区であると指摘している。
確かに、今回の尖閣国有化にあたって、9日のAPEC後に政治局常務委員9人のうち5名が次々と対日批判を展開したのだけれど、批判した5名のうち3名は胡錦濤、温家宝、李克強で見事に団派(団派の残りの1人である賀国強は習近平同様、今月12日まで何処かに雲隠れしていた。)であることを考えると、団派が最後の巻き返しとして、反日デモを仕掛けたのではないかと推測も有り得なくもない。
宮崎氏は、次期政治局常務委員の人事が固まったのではないかと指摘しているのだけれど、それに呼応するかのように、ここ2週間ほど消息が途絶えていた、習近平が表に姿を現している。
習近平は、9月15日に北京の中国農業大学で行われたイベントに出席し、19日には訪米してパネッタ米国防長官と会談の予定。更に21日から中国広西チワン族自治区で開催される「中国ASEAN博覧会」に出席すると発表しているのだけれど、このタイミングで表に出てきたということは、やはり次期執行部人事が固まったと見ていいのかもしれない。
だけど、もしも、次期執行部人事が固まって、団派が権力闘争に破れたのであれば、やがて反日デモも収束方向に動くということになるのだけれど、これについてはもう少し様子を見る必要があるだろう。
もしかしたら、尖閣に向かったとされる、1000隻の漁船軍団がどういう動きをするかが、それを測るバロメータになるような気がしている。
仮に、次期執行部人事が固まって、習近平ががっちり権力を握ったとするならば、中国漁船は尖閣の領海には入らずに、18日一杯くらいは尖閣周辺に待機して、党からの指示を待ち、反日デモの収束に従って、多少の小競り合いはあるにせよ、おおごとにはせず、引いてゆく流れになるかもしれない。
ただ、それでも、中国外務省の洪磊副報道局長が、17日の定例記者会見で、中国の反日暴動で日系企業に多大な被害が出たことについて「その責任は日本が負うべきだ」といけしゃあしゃあと述べているから、早期収束などと甘く考えない方がいいし、なんとなれば、「そうですか、では被害を受けた店舗は施設は、責任を持って「このまま保管」します。貴方達のやったことを未来永劫歴史の証拠として残します。」と見せしめに残すくらいしてもいいと思う。
今回の暴動は、世界にも発信されている。中国リスクが明らかになった。だから、その動かぬ証拠をそのまま残すことが、中国の負い目になる。中国は、ともすれば、歴史認識がどうのとか、尖閣や沖縄は元々中国領土だったとか、過去の文献を抹消・捏造してでも既成事実化するけれど、反日暴動による被害は、事実そのもの。これを残すこと自体が中国に対する牽制になる。
尤も今回の被害で、日系企業が操業を停止し、中国人従業員の雇用が失われることが確実になったけれど、それは自業自得。その証拠をずっと残しておくことが、中国自身に自省を促すことになる。


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