「艦これ」が日本にもたらすもの

今日は、艦これの話題をば…

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艦これの勢いが止まらない。DMM.comが提供しているPC向けWebブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』の会員数が遂に120万人を突破した。

艦これは、今年4月よりサービスを開始して以降ほぼ口コミのみでユーザー数を増やし、今なお、新規登録者数が増え続けている。そのためサーバー増強が追いつかず毎日の登録を抽選で制限しているほどだというから、なんとも凄まじい。

関連書籍も飛ぶように売れ、「艦これ」特集をくんだある雑誌などは、重版に重版を重ねているという。

更には、12月15日まで秋葉原にて期間限定カフェ「甘味処『間宮』」もオープンするなど、ゲームの枠を超えた広がりを見せている。なんでも、100万人登録突破の折には、大和ミュージアムから呉の地酒、「大吟醸『提督』ADMIRAL」が艦これの開発・運営に送られたそうだから、一般への認知も進んでいるものと思われる。

この分でいくと、2次創作、3次創作や、コラボ、タイアップ企画が続々生まれていく雰囲気すらある。なんとなれば、艦娘のラベルを配した日本酒を制作・販売すれば、結構売れてしまうかもしれない。

艦これについては、以前「『艦これ』と見直される歴史認識」で触れたことがあるけれど、艦これを通して、史実を知り、歴史認識を見直す切っ掛けになるのではないかと述べたことがある。

艦これのプロデューサー兼ゲームディレクターである角川ゲームスの田中謙介氏は、インタビューで「『艦娘』という擬人化インタフェースを通して、先の大戦で失われていった艦艇や最期の瞬間まで奮闘した人達のことを思い出してほしい、忘れないでほしいと思って作ったもの、それが「艦これ」です」と述べている。少なくとも、制作サイドは、当時のことを忘れないで欲しいと思ってる。

実際、艦これを始めてからウィキペディアなどで、史実を調べた人も相当いるようだから、制作者の意図は、一定以上実現していると言えると思う。尤も、史実を知り、却って鬱になったという人もいるようだけれど…。

艦これを制作した田中謙介氏は、これ以外にも艦これについて、結構重要なことを述べている。それは兵站の思想。

兵站とは、作戦軍の生存と活動を維持・増進するため必要な軍需品や補充員等を本国から追送したり、死傷者や損傷兵器等を取り除いて本国に後送することで作戦を支援するといった、後方から軍の諸活動・機関・諸施設を総称したもの。



その中心は補給業務になるのだけれど、艦これは、この補給が重要な要素を占める。艦これをやったことがある人は分かると思うけれど、艦これは、他のゲームの様に、調子に乗って戦闘ばかり続けているとあっと言う間に燃料・弾薬が尽きて、何も出来なくなってしまう。この兵站について、開発者の田中謙介氏は、インタビューで次のように述べている。
――ゲームシステムのなかで、こだわっている部分ってありますか。

田中氏 いくつかありますが、ひとつはシミュレーションゲームなんだけどシミュレーションゲームじゃないという点です。歴史に忠実な本格的シミュレーションゲームはこれまでにもありましたが、『艦これ』についてはシミュレーションをやらない人でもシミュレーションとして楽しめるように努めてみました。ただし、自由にプレーはできますが、装備は火砲や魚雷とか電子兵装とかあって、それはある程度の知識があると、なぜこの装備や編成がいいのかが分かって、より楽しめるようになリます。

 最初から知らなくても、例えばネットや書籍などで調べたり、友人に聞いてみたりすることで知識が増える。これも“ソーシャル”ということなのではないかと思うんです。こういう柔らかいソーシャルを『艦これ』では大切にしているんです。また、戦争や戦いは戦術や作戦面を扱ったゲームが多いのですが、あえてそのなかで「兵站(へいたん)」に着目、注力しました。じつは心臓部的には「キャラクター×兵站」という組み合わせのゲームなんです。

 また、ゲームシステムのプライオリティとして提督同士を無理に競わせるようなことはせず、艦艇の魅力や先ほどお話した兵站…海上護衛の概念や大切さなどをエンタメの中で実感してほしいなあなどと思いながら仕様やデータ、セリフをつくっていきました。

 あと「張り付き」と「放置」のバランスも考えたいなあと思っていました。もちろん、ずっと張り付いて楽しめるようにもなってはいるんですが、ゲームにずっと張り付かなくても遊べる、このバランスをうまくとりたいたいなと苦心しています。

――よくわかります。戦いだけではなく、“入渠”(にゅうきょ)や“工廠”(こうしょう)で修理や開発することも重要になってますね。

田中氏 兵站と補給と修理、それこそが戦争なんだ!と(笑)。だから、普通にやっていると燃料がなくなるようになってくるんです。戦艦や空母だけでなく、駆逐艦や軽巡を組み合わせて燃料をやりくりしていくということをブラウザーゲームではあるのですが、ある程度表現したいな……と思っています。

と、このように、開発者自身が「普通にやっていると燃料がなくなるように」なるゲーム。それが艦これの一つの特徴になっている。田中氏は、戦いで決め手になる大きな要素は「兵站」だと強く思っていたそうで、実際の戦闘の局面では、「正面装備」を揃えることとそれを支える「兵站」が大前提で、派手な作戦や戦術は最後に少しあるだけと指摘している。



けれども、過去、戦いを扱ったゲームや作品は、その多くが戦術級や戦闘級ばかりで、その上の戦略級となると、一気に範囲が拡大して、国家間外交などが中心となって、「軍需」「兵站」を正面題材として扱っているゲームは少ないのだそうだ。

そこで、田中氏は、元々やりたかった「兵站と正面装備を揃える」という部分を「擬人化」という技法で「抽象化」するというコンセプトを「艦これ」に設定したのだという。

確かに艦コレをやっていると、燃料弾薬は直ぐになくなるし、ネットでの書き込みをみていると、大事に育てた艦娘をロストしたときのショックは相当大きいらしい

太平洋戦争時の旧帝国軍は、真珠湾での航空決戦とか、戦術思想としては何年か先取りしていたし、神風特攻の映像などを今みれば、誘導ミサイルと殆ど同じで、これも何十年かの未来を先取りしていたとも言えるだろう。

だけど、それに比べて、兵站とか停戦工作といった戦略級の構想で、劣っていた面があったことは否めない。

艦これでは、燃料弾薬は、時間経過で自然回復してくれるけれど、現実の世界の日本は、万が一、経済制裁されて、シーレーンが閉ざされてしまったら、そこで殆ど終わってしまう。

艦これは、そんな兵站の重要性という軍事の"一般常識"をゲームという形で具現化したものともいえ、日本人一般にそんな軍事常識を広げる効果があるように思う。

更には、過去、何故にそんな戦争にまで突入しなければならなかったのかも、兵站の面から知られるようになれば、今の日本のエネルギー安全保障の重要性はもっと認知されるのではないかと思う。


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この記事へのコメント

  • 三笠

    今まで肩身が狭かった私ですが、太平洋戦争ネタに聞き入ってくれる友人が増えてうれしかった。
    実は一度もやったこと無いんですが、軍艦や兵装・海戦の知識だけじゃすぐに追いつかれるだろうと思って、いつもと違った視点で勉強し直してみたら「歴史を学ぶことは人としての生き方を考えることにつながる」という大学時代に歴史の先生が言ってたことがよく分かりました。

    艦これだけじゃないけど、戦争をシミュレーションするゲームはイマイチ面白いと感じない(知りすぎてしまっているせいかも)ですが、大切なことを学ぶきっかけを与えてくれたことに感謝しています。
    2015年08月10日 15:21
  • 日比野

    sdiさん。どうもです。
    >彼ら及び彼女らはあくまで「艦これ」のキャラクターをひいきにしているからその背景にも触れる、というだけのケースのほうが大多数です

    いやぁ、これだけでも十分過ぎる程だと思いますよ。これまで碌に教育されない上に関連知識に触れる機会すらなかった世界ですから。何も軍オタになって欲しいわけではありませんし、たとえ特定の艦だけであったとしても、その背景とドラマを知ること自身が、あの時代を忘れないことでありますからね。

    それだけの歴史と物語を積み重ねている「日本」という国を自覚する、ということが大事だと思います。「民族の神話を学ばなかった民族は必ず滅びる」といったのは確かトインビーでしたか。艦これの史実も、後世になれば、見方によれば神話レベルの話になるかもしれませんしね。

    2015年08月10日 15:21
  • sdi

    艦これのおかげで、ミリタリーのコンテンツの購買層が一気に広がったの事実です。女性イラストレーターやコスプレーヤーも多数参入しています。もちろん、一般人も。艦これの長門が贔屓の女性が「長門のプラモデル作ろうと思って買いに行ったんだけど、あれって色塗ってないんだね」と言われて「ガンプラしか知らない人がウォーターラインシリーズを見るとそうなるのか」と内心頭を抱えつつ、プラモデルの塗装について基礎知識を教えてたりするなんて体験もしました。
    ただ、ここで「戦前の日本についての歴史認識が変わる」とか「日本の歴史についてみんな知るようになる」という期待はあまり持たないほうがいいでしょうね。艦これをに関わっているうちにそういう予備知識や関連知識に触れる機会は激増するでしょうけど、彼ら及び彼女らはあくまで「艦これ」のキャラクターをひいきにしているからその背景にも触れる、というだけのケースのほうが大多数です。ただ、艦これやガルパンのおかげで「軍事」「戦車」「軍艦」と言ったものに対する忌避感や嫌悪感のようなものが薄れる効果はあるでしょう。そして、それが気に入らない、我慢ならない方々も同然いるわけでTL等で熱
    2015年08月10日 15:21

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